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3)高齢者の身体機能特性(野呂影勇:図説エルゴノミクス、p.324、1990、日本規格協会)
○ 高齢者の加齢による身体機能特性の変化は若年者との比較によって明確に観察される。斉藤ら(図、要約とも、斉藤一、遠藤幸男:高齢者の労働能力、労働科学叢書53、p.9-10,1982、労働科学研究所)は向老者(55-59歳)の身体の各種機能水準を、若年者(20-24歳)との相関関係で図1のように表わしている。数字は若年者の水準を100とした場合の向老者の値を示している。これから斉藤らは向老者の特性を次のように要約している。
1.視力・聴力・皮膚感覚や目の薄明順応などの感覚機能と平衡機能、抗病及び回復能力と、夜勤後の体重回復の速さ等の低下が著明である
2.筋力では、手や腕の力、背筋などに比べて脚力の低下が大きい
3.身体の柔軟性では、脊柱の前屈や側筋に比べて肩関節の柔軟性低下が目立つ
4.速度に関係した運動機能では、書字速度や動作調節能の低下が大きい
5.精神機能では、記憶力や学習能力の低下が著しい
6.これらに対し、呼吸ガス代謝、手や腕の力、筋作業持久能、大脳中枢興奮水準、分析と判断能力や計算能力などは75-85%の範囲にあって、それほど大きな低下はみられない

 

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